あるく

~山の恵みの備忘録~

M『山のパンセ』

まだ、戦後。

8月15日は、『終戦』記念日。「戦没者を追悼し平和を祈念する日」です。 恒例の『全国戦没者追悼式』が執り行われ、そこで語られた明仁天皇と安倍首相の言葉が新聞に掲載されましたので、私は、それらをポエトリーとして、詩的表白として読ませていただきま…

畏れる

"天命を畏れよ"、"天命に敬虔であれ"と、 古人は言いました。 先の大戦に析出された"不戦の誓い"、日本国憲法第9条は 日本の"天命"であると、私は思っています。 ある歴史家は、戦前を総括し、 思想・信条の自由の最初の一片を売り渡す者は 最後の一片をも…

大切な遺産

磐梯山東壁 ”日本国民は、 正義と秩序を基調とする国際平和を誠実に希求し、 国権の発動たる戦争と、武力による威嚇又は武力の行使は、 国際紛争を解決する手段としては、永久にこれを放棄する。 前項の目的を達するため、陸海空軍その他の戦力は、これを保…

思うこと

ある本を読んでいたら、その中に、 アメリカの哲学者パースのこんな言葉が引用されていました。 『十九世紀を通じて、 経済の問題に大きな関心がはらわれてきたために、 欲ばり(greed)の有益な効果と、 やさしい気持ち(sentiment)の不幸な結果が、 誇張…

黙想

「あれ?Mさん?」。御西小屋に向かい、たしかな足取りで、気持の昂ぶりを抑えきれぬかのように歩いて来る一人の女性を見て、思わず私はつぶやいた。しかし、Mさんであるはずはなかった。 Mさんとは、私が学生の頃教えを受けたT先生のお嬢さんで、大学を…

やさしさ

たくさんの人が飯豊の山に入ります。 「心」・「技」・「体」・・・そのたかは様々です。 飯豊は易しい山ではないと思います。ある方にとっては能力を超える山であるかも知れません。だから、ギリギリのところで行動していると、考えられないようなミスを犯…

Mountaineer Jesus

(Photo/Mt.Bandai.'09,Mar.28th.) "Mountaineer Jesus" (山に登る人・イエス) クリスマスが近づいて来ました。キリストの降誕祭です。聖書を読んだことのある人、ない人、それぞれどんな想いで「祝う」のでしょう。 イエス・キリストは聖書の本懐。聖書は…

登山観は問う

トムラウシ山の悲劇は記憶に新しい。 中高年の商業ツアーによる悪天をおしての計画の強行が遭難につながったというのが 大方の指摘である。なるほど、ビジネスとしての「ツアー登山」であり、亡くなられた方が出た以上、「業務上」の「過失致死」に当たるわ…

月心地蔵

『月心地蔵』 「御幣松尾根」(オンベ松尾根)。―― 飯豊の地図にこう表記されている登山道は、昭和二十五年に飯豊連峰が国立公園の指定を受けた翌年に「オンベイ松尾根新道」として伐開されたもので、その先頭に立ち労を厭わず1ヵ月近くも山に入り伐開作業をお…

「ああ何と見事な・・・」 紅葉のまだ落ちきらぬおおざさかいの尾根を背に、直径300M程だろうか、しっかりとした半円を描いた虹にであって、思わず私の目はうるんだ。 11月X日。 飯豊の山に会いたくなって、私は深夜の国道を山形へと向かった。大日杉への林…

そうび、装備

以前、石転び沢の出合で休んでいた時、たまたま出会った知人が、近づいて来た一人の男性に「Hさんですか?」と声をかけた。「そうです」。その、(後で知った事だが)私とほぼ同年のまだ童顔の少し残る「青年」は、はにかみながら答えた。 私自身、福島県人で…