三階滝、寂寂。
今日(10/27)は、安達太良、湯川渓谷へ。
秋の祝筵はもう終わりかなと思いましたが、杞憂。
上善の溪は、遅れてきた、この貧しき土塊を、
秋韻、秋光、秋思をもってもてなしてくれました。
感謝。
塩沢口から分け入れば、秋興。
あかるく、なまめきます。
山頂は念頭になし。ゆるりと三階滝へ。
沢床に降り起てば、うっとり。
颱風の余韻で、水量が豊か。
ろうろうたる響き、その律動に合せられます。
ほとばしる水。
砕かれて翔逸、翔華、翔踊。
低きを求めてやまぬ、謙廉…
そのりりしさに、合せられます。
朗らかな、翔逸。
「上善如水」(上善は水の如し)、
とは先哲の言葉。
水は、大地に恵んで様々な利益を私たちに与え、
流れては自由自在、しなやかに岩を避け、
人の嫌がる低い処を欲してやまない。――
かく争わず、謙虚にして善良、まるで聖人の様ではないか。
人よ、水に学ぶがいいと。
低きへの、翔天。
水の精が頌えば…
陽精が唱を合せます。
ざんぶと、じゃぶじゃぶ、あわあわ、ぷくぷく。
水の響を、翻訳できたらなぁ。
うららかな陽射しに応える、樹々の精。
りりしくながれます。
りりしくあるこう。
突き上げて、屏風岩。なまめいて、相恋ノ滝。
渓の律動、脈動は、水と岩の讃歌。
八幡滝。
水の精にみいでられ、…
その渾身の頌に、…
合せられます。
愉しい、溪の逍遥。
水が朗らかに、頌います。
その祈りは、
"Grace be with you".
交響する水の詩、岩の詩、樹々の詩。
溪と別れます。
もう直ぐ、くろがね小屋。
呼ばわる、鉄山。
今日は此処まで、ここを山頂とします。
小屋前に陣取り、パン1個。
食べ終え、往路を復します。
再び、語らいの溪へ。
あわあわ、ごぼごぼ、ぶくぶく。ふむふむ。
渓に響く、朗らかな、わらいごえ。
天使たちの宴は、そろそろ仕舞いかな。
再び、屏風岩。
ひと時、相恋ノ滝と語らいます。
鼎(かなえ)の沸くが如し、の感がある政治の世界。
論語に、――
「子曰わく、
苟しくも其の身を正しくす。政に従うに於いて何か有らん。
其の身を正しくすること能わずば、人を正すことを如何せん」、
また、
「(政を問われて)子曰わく、
速やかなるを欲する無かれ、
小利を見る無かれ。
速やかならんと欲すれば、即ち達せず。
小利を見れば、即ち大事成らず」
とか。(子路第十三)
"わが身を正しくさえすれば、
政治をやることぐらい、なんのむずかしいことがあろう。
わが身さえ正しくすることができないとすれば、
他人を正しい方向にみちびくことが、どうしてできるか"。
"あせってはいけない。
あせっては、当然うまくゆくことでもうまくゆかない。
目先の小さな利益をおっかけてはいけない。
それでは、大きな事が完成しないではないか"。――
人間を正しい方向にみちびくことが政治の本質だとする孔子の、
時空を超えたエ~ルが、届きます。
この怒濤の中から、きっと何かが生れる、
そう信じています。
相恋ノ滝が、肯ってくれました。
陽精のねぎらい、エ~ル。
その祈りは、
"Grace be with you".
無事の下山、水の上善に
感謝、感謝。
Fin