『群像/飯豊の保全[前篇]』からの続きです。
オリエンテーションを了え、いよいよ作業開始です。
さて、作業には土嚢袋に入れる土が入り用なのですが、
今、安定している上土は、微妙なバランスの上にあるので、
そこから土砂を採るのは御法度。
その為、上から流されて沢床に堆積している土砂を採取し、
人海戦術で、稜線に上げることに。
急斜面に踏ん張り、土嚢袋に入れられた土砂を手渡しで上へ。
次は、この土に石と椰子繊維をブレンドして土嚢袋に入れ、
工区へと担ぎ上げます。
石も土砂同様、安易に採取はできませんので、
ケルンの石を利用します。
土嚢袋に、各自、身分相応?の量を積めて。
上の現場に石を上げるのは、大変な重労働です!
上の現場に石を降ろしては、ケルンに戻り…
そして、再び石を土嚢袋に詰め込んでは…
上へと担ぎ上げる。その繰り返しです。
新たな道を豪快に伐開。
そして、伐り出された笹をせっせと運び出しては…
此方で、括り、利用します。
黙々と、そして、あるいは笑いながら?
この道は、これ以上侵食が進むと、
取り返しがつかなくなるので廃されます。この道に…
これ以上、侵食が進まぬよう、
担ぎ上げられた石や土や椰子繊維をブレンドした土嚢を用いて、
手当てを施します。
まずは、伐り出された笹を利用して深く掘られた箇所を埋め、
さらに岩や椰子繊維を詰めて、水勢を弱め、侵食を防ぎます。
そして、その上に土嚢をのせて固定する。――
大日岳は、笑んで、この様子を見守っています。
新道の伐開もおおよそ了えた様です。
あらかた見通しがたったので、この場は他班にお任せし、
4班は柴田班長と、さらに上の工区へ移動。
この箇所は流水で抉られており、水量を減らさねばなりません。
導流工で、水を笹薮へ流す、分散排水を図ります。
水勢を利用したラインに、ブレンド土嚢を並べ、
踏圧を慮り、麻ネットを二重に重ねた上で、金網で巻きます。
(↓は仮縫いの状態。麻ネットの到着を待っています)
そして、
排水する先に落葉などが詰って水が溢れないよう、
少々、笹薮を刈り込みます。
また、侵食で掘られた箇所には笹を敷き詰め、
その上に、ステップを兼ねて土嚢を設置します。
上手く踏んでもらえるよう、位置を調節。完成です。
みなさん、作業を終え、上の現場に集まって来ました。
「ふりかえり」と称し、上の現場から順に、
班長さんより、作業の意図、成果についてお話し頂き、
質疑応答となります。
みんなが揃うのを待ちつつも、一仕事了えた安堵が漂います。
班長さんから作業の意図につき説明を受けます。
それぞれに工夫のあとが。
この通せんぼの先が今までの登山道。
これからは左へ折れることに。
さて、「ふりかえり」を終えて、集合写真。
みなさん、良い表情です。
井上さんや、平野さん、
そして、川端さん、菊池さんから、講評。
それぞれのお話に耳を傾けます。
これにて、保全作業は終了、散会です。
ほんとに、みなさん、お疲れ様でございました。
さぁ、小屋へ戻りましょう。
お山の慈顔、ねぎらい、エ~ルが注がれます。
それぞれの成果を味わいながら。
石組で流水の方向をコントロール。
水勢を落とします。
ケルンの石もこうして利用されれば本懐というもの。
上手く水の流れが分散されますように。
登山者のみなさん、
どうぞ、やさしく踏んで下さい。
水の良識を?信じます。
お山に、いとまを告げて。
カンバくんの、鄭重なるねぎらい。
三国小屋が、見えて来ました。
三国小屋に戻れば、大日岳からも鄭重なるねぎらい、
"Grace be with you".
"作業が護られ、ありがとうございました"。
一人、弥平四朗口へと下りられる中条山の会の水澤さん。
お疲れ様でした。
管理人の金子さんと一緒に、パチリ。
いつか、門内小屋に泊りに行きますね。
小国山岳会、大江山岳会のみなさんも準備を終え、小屋の外へ。
喜多方山想会の宴会部長?岩渕さんも交え、記念にパチリ。
金子さん、ありがとうございました。
さて、みんな猛者ばかり。剣ヶ峰をすたこら。
七森からのエ~ルを頂戴しながら。
三国岳に、いとまを告げます。
井上さんと吉田岳さんは五段山経由で大日杉へ、ということで
分岐でお別れ。
そして、お話の尽きないみなさんのお邪魔をしてはと、
私は長坂を先行させて頂くことに。
森の精霊たちのねぎらいが、うれしい。
そして、大白布の沢のねぎらいも。
無事の下山、
参加されたお一人、おひとりの献身に
そしてお山の寛恵に
感謝、感謝、感謝。
Fin