『大日岳/和心(二)』からの続きです。
明けて16日。
昨夕のこの英姿に、本日を期待したのですが…。
3時過ぎに起きると、外にはガスがたち込めています。
朝食の準備をし、しっかりと胃の中へ。
4時22分、辺りはまだ雲の統べる世界ですが、予定通り、
大日岳を目指し、小屋を発ちます。
(少し進んだ、水を採った雪渓の辺りは、夏道が隠れています。
此処でガスられると緊張ものですが、高巻いて進めば直ぐに
夏道に出られます。)
ガス、ガスの中、ただ黙々と運歩。
路傍の花のエ~ルに応えて。
お~っと、大日岳直下の急斜面。
この時季、残雪で夏道が隠れることがありますが、
今年は結構規模が大きく、20~25M?ほどの区間が雪の下です。
雪を避け、高巻くしかありません。
(アイゼンがあっても、この傾斜、雪にのらない方が無難です)
通過すると、チングルマのエ~ル。
雨粒混じりの風の中、山頂の標柱が幽かに。
ふ~、風に祝福されて、大日岳を頂きました。
貧しき土塊が、此処に起てた幸い…。
何も見えないけれど、心は見えないもので満たされます。
ただの意地なのだろうか?
いいや、この場処へと、思いを定め、
心を尽くし、思いを尽くし、力を尽くしたこと、
そのひとすじの気持ちこそが貴いのだと、
お山の響。
そして、お山の祈りは、"Grace be with you".
此処へ来れたことに、すべてのことに、感謝。
降り始めると
路傍から、生まれたてのイチゲの祝福。
ありがとう。
その頌、その衷情が沁みてきます。
陽精はきっと出たがっているんだろうな。
心満たされ、ガスの中、黙々と運歩。
御西小屋へ戻りました。
さて、帰らねばなりません。
愉しくお喋りしながら、苦手なパッキング。
お世話になった管理人の羽田さん(向かって左)、
西川山岳会の柴田さん(中央)、そして岡山の青年(右)と、
みなさん楽しいお話、愉しい時間をありがとうございました。
ご健行を祈り上げます。記念にパチリ。
青年に代わってもらい、今度は私が右に。
また雨粒が混じり始めたので、雨具を装着して出発します。
"See you, later"、
御西小屋においとまです。
花々の目送に与ります。
幽玄の世界を、てくてく。
"ゆきなれた路の
なつかしくて耐えられぬように
わたしの祈りのみちをつくりたい"
(八木重吉)
しあわせな時間を歩きます…
白鯨の祈りは、
"Grace be with you".
のたりのたりと草月平…
花々と言葉を交わしながら。…
ガスが切れ、飯豊の山頂が見えてしまいました。
愉しきimagine、結びです。
昨日に続き、飯豊山登頂。
崩れるのは必至、休まず進みます。
"See you, later".
束の間、雲が切れて、草履塚。
白鯨が見守ってくれています。
御秘所から、飯豊本山。
お山の祈りは、"Grace be with you".
雲は攻勢、いよいよかな。
振り返って、おいとま。
キスゲのねぎらいエ~ルに、ほっこり。
るんるんと、草履塚の斜面を下ります。
種蒔山に暗雲…
雪渓を終え、
もう直ぐ切合小屋、という処で雨、それも本降りの。
カメラは大切、ビニ~ルに包んでザックの中へ。
切合小屋に一刻休み、
あとは覚悟を決めて、すたこら、singing in the rain?
この先、画像は、休憩のときの2枚のみ。
三国小屋で金子さんにご挨拶。いとまを告げます。
剣ヶ峰では、雨中、リョウくんが道刈り。
「相棒」がつつましく。
この後、
長坂ではドシャ降りの雨、登山道は沢と化してしまいました。
あたふたと下り、愛車に逃げ込んで、帰路へ。
ラジオからは、『会津北部に大雨洪水注意報』――。
(大白布と小白布の沢を合せ、濁流と化した一ノ戸川)
無事の下山、
和心の山路に
感謝、感謝、感謝。
Fin