『大日岳/和心(一)』からの続きです。
いよいよ、御前坂。
今日は雲さんが真夏の陽射しをあらかた遮ってくれました。
お蔭様で疲労困憊というほどのことはなく、調子は上々。
とは言え、最後の関門、試練坂たるに変りはありません。
ウスユキソウがこのたどたどとした形影を激します。
花々のエ~ルに鼓舞されて、いざ。
カフェ御前坂で、ひと息。
もう少しで、一王子。
ガンバレ、頑張れ~。
薄いヴェールを纏った本山小屋が見えて来ました。
金子さんから聞いてましたが、小屋にはリョウくんの姿。
一仕事終えて?まったり。
*リョウくんとは、5月3日の『飯豊山』↓以来の再会。
旅は続きます。
飯豊山頂が招きます。
お~、咲いててくれました、イイデリンドウ。
健気です。
陽射しが少ない所為か花弁を広げた個体は少なめ。
でも、ひとすじの気持に和みます。
そして、ヒメサユリも。
みんな祝福してくれているかの様です。
飯豊山を頂きました。
感恩が溢れます。
たどたどとした歩みでしたが、一歩一歩の力は偉大、
思いを尽し、心を尽くし、力を尽くして、
此処に起ちました。
雲を透し、峰々からの祝福が届きます。
おにぎり1個。
まったり、眺覧、そして周覧。
飯豊の空気に酔いしれます。
青空に讃歌、そして陽精には頌歌。
"はじめに ひかりがありました
ひかりは 哀しかったのです
ひかりは
ありとあらゆるものを
つらぬいて ながれました
あらゆるものに 息を あたえました
にんげんのこころも
ひかりのなかに うまれました
いつまでも いつまでも
かなしかれと 祝福れながら"
(八木重吉)
程なくして、ご夫婦連れが来頂。
お願いして、証拠写真をば。
でも今日は、此処が終着駅ではありません。
まだ旅の途中。
いざ、御西。
駒形山へと進み、振り返って、お山のエ~ルに応えます。
御鏡の雪へと、心が逸ります。
チングルマのやさしいねぎらい、そしてエ~ル。
ゆっくり行きなと、諭します。
わたしのハイ・ロマンス、草月平。
白鯨が悠々と遊ぶ桃源です。
ずんずんと降り落ちて、降り積もり、
固く圧せられた雪の厖大は、連繹、連延、ある日、意思を有ち、
白鯨と生って天空に沐浴する…
この雪の塊は、物であることをやめ、白鯨として、
いわば閉じ込められた存在から、救済されるのです。
歩を運ぶ、しあわせ。
おおぞらへとかけりゆくこころ。
花々が咲き溢れる桃源に、心を込めて…
そして思いを込めて。
花の囁きに、耳澄ませながら…。
飯豊の白鯨、御鏡の雪よ。
白鯨と語らい…
空と雲にはげまされ…
御西への道をてくてく。
ふ~、はるばると、峠の我が家、
御西小屋に到着です。
管理人の羽田さんにご挨拶。
まずは水。
受付は落ちついてからでいいよと。
大日岳方向へ少し進んだ処に雪渓があり、その斜め下部、
残雪と草地の端境に滔々と融雪水が流れています。
草の香りが?とも心配しましたが、そんなことはなく美味。
湧水と遜色なしの名水でした。
つまみを作り、ウィスキーの水割りで、一献。
羽田さんや、岡山から来たという気の良いテン泊の若者、
そして保全でご一緒したことのある柴田さんを交えて、
歓談、四方山話と相成りました。
夕刻になってやっと大日岳が御出座しです。
"Welcome home, my friend".
"Here, I am".
その親昵にひたりながら、まったりと、しあわせなひと時に
恵まれました。
『大日岳/和心(三)』につづく。