『その2』からの続きです。
”龍隠”、石転び沢。
”抜くべからざる”雪渓にして、訪れた者七人、…
護る峯のどの一つ、枝沢の抹消に至るまで、
「悶(うれふる)」ことなく、只管に天を指している。
無心に(!)汗する者にのみ、”龍徳”は顕れるのだと、
溪(たに)は語っている。
白龍の脊背に、
足を遊ばせ、
心を遊ばせる、
その愉快。
”ほん石転び”の出合。
この溪(たに)の朗邁は、…
この貧しき土塊に朗心を呼び起こします。
飛翔せよ、my own dragon 。
天へと。
嗚呼、愉しき imagine 、有終です。
門内に肩を叩かれ、
石転びの出合に連れ戻されました。
欲と得とで生命を毀つ下界。
”滅び”への道だとどうして覚らないのだろう。
賢治は『セロ弾きのゴーシュ』で、
”くゎくこう”に云わせている、
「なぜやめたんですか。
ぼくらならどんな意気地ないやつでも、
のどから血が出るまでは叫ぶんですよ」と。
雪に叩かれ、埋もれて、
雨に打たれ、削られて、
石を転ばせ鼓動するこの溪もまた
「然うだ」と語っている。
私も切々と語り続けよう、
『倒れて起き上がらぬ人があろうか。
道を間違えてもどらぬ人があろうか』と。
石転びの沢にいとまを告げて。
雪塊に息ずく白龍の精。
梅花皮沢からは大きなエ~ル。