『その1』からの続きです。
明るい、下界。
誰もが信じた、あの予報。
お山は呵呵大笑して雨を降らせます。
生温かい風と冷たい風、上から、そして下から。
その交響に、雲は濃淡を繰り返し、
雨はしとしと、ざぁざぁ、ぱらぱらと
旋律を奏でるかのようです…。
雨と雲の間隙をぬって、カメラは大忙し。
白龍の吐く息はファンタジア。
幽玄を醸します。
時折の前景に方向を微調整。
後続に二つの形影が認められましたが、
お一人は多分初めてなのでしょう、断念してかUタ~ン。
北股沢は、雨に打たれ、削られて、土石の奔流となり、
白龍の肢体に痕跡を残しました。
「こっちに来ちゃ、いけないよ」。
あまり見かけぬ場処にも土石の怒号。
雨の降りが尋常でなかった様です。
一歩毎に増す勾配。
雲が退いて、進路を明らめます。
中ノ島をロックオン、
これが頼もしい道標です。
太陽のエ~ルに応えて。
中ノ島が直ぐ其処。
”上陸”はせず、着かず離れずで
”電光”のラインを切ります。
またガスが濃くなりだしました。
最大斜度は45度ぐらい?
ふ~、振り返って、一息。
ガスが薄く応えてくれました。
step by step 、
白龍の鼓動に息を合わせます。
不意に、梅花皮小屋が。
龍翔の尖端、やっと雪渓の終点です。
梅花皮小屋の管理棟には関さんの姿。
お願いして、kobayashiさんとツーショット。
小屋で関さんを交え歓談、四方山話。
お腹を満たし、石転ビ沢を下降することに。
予定では周回の丸森下り。
でも今日は、白龍が「降りて来い」と誘います。
小屋にいとまを告げて。
足元に緊張しながら、ゆっくり下降。
お一人上って来られました。
遅いので、ちょっと心配していましたが、
途中でゆっくり食事をとられたそうな。
終点間近、お疲れ様です。
kobayashiさんも足元に意を注ぎながら。
ガスが濃いのは稜線付近だけ、
段々と雲の端境へ。
中ノ島の先には”晴れ”の世界が拡がります。
まじまじと石転び沢雪渓、
その自由、その剛毅にしばし総身をひたします。
さて、上りでちょっと判りずらかった黄色の指導標。
関さんの依頼もあり、少し手直し。
小屋下から引き抜いてきた一本を此処に。
ガスが濃い時の中ノ島への方向付けとします。
稜線からの挨拶が届きます。
北股沢にも視界が拓け、よく見ると、・・・
道迷い?登山者が一人、北股沢にステップイン。
大声で「オ~イ、そっちは違うぞ~」と、二度三度。
気が付き振り向いて、「△●□×◇▲~」。
向き直って、またぐんぐん北股の山頂を目ざします。
余程の熟達者なのでしょう、見送ることに。
指導標のミッションを了え、下へ。
三人のパ~ティとスライド。
北股沢を往く登山者を怪訝に思っていたそうな。
注意喚起をして、Good luck to you 。
『その3』に続く。