帰路、ひと息入れると、カモシカくんが此方をまじまじ。いい面構えです。
今日(11/11)は、磐梯山へ。
暦の上では、立冬。
初冬の磐梯山を、雪の感触をと、当て込みましたが、先駆けの雪は粗方消失、
冬は、一歩進んで二歩下がるの構えか?お山は晩秋のたたずまいでした。
5時半、まだ真っ暗です。
いつもの猪苗代スキー場から、ヘッドランプをつけて。
ゲレンデトップ着。
明るんだものの、何だかモヤ~っとしているなぁ。
赤埴の山脊を、落葉を踏んで。
沼の平へ。いつもの場処で、ひと息。
お山は布団の中?
でも、光が射し込むと、金色の世界が現出。
「その者青き衣をまといて金色の野に降り立つべし…」(『風の谷のナウシカ』)
ほら、ナウシカがそこに?
ときおり陽が射すので、希望はあります。
櫛ヶ峰を頂きました。が、西風強く、寒ッ。雲は頑固そう。
物思いに沈む、大磐梯。何をおもう?
最近、韓国で、元徴用工の方々への賠償を命ずる判決が確定しました。
その法理について、とやかく言う準備は持ち合わせません。が、
まだ「戦後」なのだと、あらためて、つくづくと、思わしめられました。
殴った人間が、殴られた人間に「罪を憎んで人を憎まず」とは、言語道断、
言えるはずもないと、これは誰もが弁える道理なのですが、
この度は、ややこしい。
日本の言論は、この日韓基本条約や日韓請求権協定を蔑ろにする判決に対し、
「悪法もまた法なり」と毒杯を仰いだソクラテスを引き合いに出し、
彼に恥じるところはないかと、詰め寄ります。
(~韓国の言論、韓国の良識の表白としてならわかるのですが…)
おいおい、ソクラテスは彼の「最善のロゴス」、彼の正義に殉じたんだ、
〈法的安定性〉に殉じたんじゃないぜ。
ソクラテス曰わく、ー
「もっとも大切にしなければならないのは、
生きることではなくて善く生きることである…
『善く』と『美しく』と『正しく』とは同じこと…
正しく生きることが、もっとも大切なことなのだ」
→だから、「いかなるしかたでも不正を犯してはならない」
→だから、「たとえ不正を加えられても、不正の仕返しをしてはならない」。
かくして彼は友人の脱獄のすすめを斥けたのでした。(『クリトン』)
「歴史認識」の問題だとは、よく言われます。確かにそうです。
でも、ソクラテスは、彼の正義に殉じたのです。
いうところの「法的安定性」に殉じたのではありません。
双方が、尊敬と敬虔の情に裏打ちされた、正義への意志を有たぬ限り、
真の和解、平和は、生まれないだろうな、…
ふと、そんな思いにかられました。
"然うだな"と、雲を透して、お山の響。
今日の立役者は、雲さんです。
パンを頬張りながら雲が退くのを待ちましたが、寒くて、限界。
(持参のオーバーグローブのお世話になるとは~)
西端を周りこんで、下ります。
大地の懊悩の痕跡が、その意思が、滲みてきます。
陽精の頌も、今日はしめやか。
さて、大磐梯へ挨拶をしに行きましょう。
「天へ、天から生きよ」と呼ばわる天狗岩。倦むことを知らず。
弘法清水へ。小屋で、澁谷さんにご挨拶。
明日で、小屋仕舞、冬ごもりとか。来年また元気にお会いしましょう。
いざ、山頂へ。期待した雪は皆無。ちょっとガッカリ。
大磐梯を頂きました。
青空へと抜けるのを希って、しばし、常連さんと語らい、待ちましたが…
無理そう。帰ることに。
雲を抜けて、すたこら。
(標高で1600M辺りから上を、雲さんが統べります)
沼の平に運歩。
いつもの場処で、ひと息。
お山の響に、耳澄ませます。
「仁遠からんや。我れ仁を欲すれば、斯に仁至る。」
お山の祈りは、"Grace be with you"。ありがとう。
湖が、陽精の頌に唱を合せています。
『天の庭』をスルー、ゲレンデトップへと降り立ってひと息つくと…
何やら気配。おやおや、直ぐ下のところに、カモシカくんです。
真っ直ぐな、まなざしだなぁ。
いつまでも、このまなざしにたえられる人間でありたいと、希う…。
目送に与って…
ゲレンデをすたこら。
(もうちょっと語らっていたい気もするけれど…)
川桁山のねぎらい、エ~ルがうれしい。
下山すると晴れる?
無事の下山、
恭和の山路に、
感謝、感謝。
Fin