『大日岳/慈憫(一)』からの、つづきです。
草履塚で、ひと息。
連嶺の圧倒を前に、ただ仰止、仰望。静まって、心の草履を履き更えます。
~風のおかげで、此処まで、体調は無問題。
でも、過ぎたるは何とやら、風邪ひいちゃいそうなレベルです?



うれしい、ウスユキソウのエ~ル。

さぁ、御秘所へ。

花々の頌に歩を合せながら。

御秘所の岩場から、飯豊本山。

越えて・・・

御前坂へ。いやさ、試練坂。

半ばで、『カフェ御前坂』。(テーブル形状石が楽しい)
マスターの温顔に、疲れを忘れます。

眺覧、種蒔山、草履塚。

頂稜に起てば、そこは、桃源。峰々の祝福に与ります。

山頂へと、のっそのっそ。早く歩くなんて、もったいない。

足元には、イイデリンドウの健気。今年も、会えました。
陽精の頌に、ひとすじの気持ちで、応えています。
見られるために、明らめるために、あなたは生まれたんだ。



キスゲのみんなも、唱を合わせます。

思いを尽くし、心を尽くし、力を尽くして、どうにか、
飯豊のお山を頂きました。
風が歓呼して?祝福、貧しき土塊に、感恩が溢れます。

今日は登山者が少なく、山頂での「証拠写真」はナシかなと観念していましたが、
幸いにも、女性が御一人居合わせて下さり、撮って頂くことが出来ました。
感謝。
名古屋から遥々の飯豊連峰、日帰りの急ぎ働きでは、勿体ないですよ~?

黙想。
ただ、眺覧、周覧のひと時。


”みずからにも
とおときまで きょうわがこころのただしさ
わるいこころは すこしだけ わく”
~八木重吉


おにぎり1個。
今日は、泊まれるのです。此処が終着駅ではありません。
さあ、御西へ。

のたりのたりと、歩いてゆくと…

リズムに合せて、キスゲが讃いだしました。

御鏡の雪が、視界に大きく領地を拡げてゆきます。

玄山道分岐を越えて見返せば、飯豊山、駒形山の雄心。

しばし、佇み、コバイケイソウに耳澄ませます。

愈々、わたしのハイロマンス、草月平・・・

白鯨が天空に沐浴する、桃源です。



ずんずんと降り落ちた雪の厖大は、固く圧せられ、連繹、連延、
ある日、意思を有ち、白鯨と生ってあまかける…

キスゲが讃い・・・

その輪唱の中を、てくてく、てくてく。

それは、飯豊の叙情詩。


天空の清冽なカンタータ、その律動に、足が躍ります。


キスゲに彩られ、飯豊のお山は、「しあわせだなぁ」。

わたしの靴音も、「シ」、「ア」、「ワ」、「セ」と響きます。


イワイチョウも・・・

ツガザクラも、渾身の頌歌。

吾妻、安達太良、磐梯の峰峰から、大きなエ~ルが届くと・・・

前方に、峠の我が家、御西の小屋が。

そして眼前には、大日岳の英姿。

"Welcome home, my friend".
「ただいま」。


『大日岳/慈憫(三)』に、つづく。