『大日岳/佳恵(一)』からの続きです。
御西小屋の受付を済ませて、水くみ。
管理に入っておられたのは、小国山岳会の草刈さんでした。
荷物の整理を了え、外に出てまったりしていると、
大日岳がちょこんと顔を出して、
"Welcome home, my friend",
"ありがとう"。
北方の峰々から雲が解かれます。
草刈さんに焼酎のお湯割りをごちそうになりながら、
しばし歓談、四方山話。
すると無線で、何やら道迷い?の"遭難"騒ぎ。
草刈さんは本山、ダイグラへ赴くことに。
私は、着替えて、ハイ、ポーズ。
夕照の、寂かな時間。
陽精のpassionが、
上り来った者の労苦を熔かします。
だんんだんと、雲は退座。
牛首山を伴って大日岳がお目見えです。
太陽の鎮め。
替わって、お月様が御出座し。
月明かり、そして、やわらかな時の流れ。
月天子に見守られ、
同宿の五人は遅くまで、外で山談義。
翌21日。
3時半に起床。
まずはコーヒー。そして朝食をしっかりと。
4時半。雲海を見下ろし、御西小屋を発ちます。
お目当ての、大日岳へ。
秋ならばヘッドランプが必要な時間ですが、流石に今は夏。
足もとに心配はありません。
お山が、"早く来い"と。
ニッコウキスゲが咲き溢れる小径を、てくてくと。
花々の讃歌が英気を注ぎます。
飯豊本山が見える位置に来ました。
先ほどまで見えていた種蒔山は沈没か?
大日岳の山頂が招きます。
寵臣、牛首山。
ヒメサユリの声援に応えます。
大日岳の肩の高さを超え、
牛首山を見下ろせるようになりました。
おやおや、ダイモンジソウ。
うれしいエ~ルです。
ここは飯豊の最高位。峰々が眼下に展がります。
大日岳を頂きました。
標識の上に、陽精を灯せば、希望の燈明です。
貧しき土塊が
心を尽し、精神を尽し、思いを尽し、
そして力を尽して、ここに起ちました。
山に上ることは祈り、
こうして天辺に砕かれて、
大地の意志、宇宙の、創造の意思に触れるような…
"Grace be with you",
その幸いに感謝、感謝、感謝。
しばし、安んじて、周覧。
北股岳、梅花皮岳、烏帽子岳。
遥かに、朝日連峰。
左奥に鳥海山、そして右奥に月山。
さらに西方、西大日岳。
牛首山の稜線。
このままこの牛首の稜線を辿れたらなぁ。
御西岳、飯豊本山、草履塚。
この山嶺の繋がりは大地の祈り、慈愛の結晶です。
滝雲に洗われる御秘所。
よせてはかえす波のように。
良い時間を過ごせました、感謝。
そろそろ、帰らなければ。
陽精と語らいながら。
そして、お山と語らいながら。
すると、御西小屋の管理人、草刈さんが登って来られました。
昨夕の遭難騒ぎ、
当人が朝早くに自力で本山小屋に戻ったそうで、落着。
お疲れでしょうに、
予定通り、オンベ松尾根へ道刈りに行かれるとのこと。
どうぞ、お元気で。
ついでに私も撮って頂きました。感謝。
牛首山のエ~ルに応えます。
振り返り、振り返りながら。
いいでの香りに包まれて。
大日岳。
牛首山。
ゆっくりゆっくり歩きましょう。
北からの響に耳澄ませます。
お山の清爽に…
身も心もとかされます。
飯豊の信実…
そして謙遜を、
押し戴きました。
御西小屋に、無事、帰還。
『大日岳/佳恵(三)』に続く。