あるく

~山の恵みの備忘録~

日山/邁往 2016年6月11日


  今日(6/11)は、
  阿武隈高原中部県立自然公園『日山』(1,057M)
  を見廻ります。

  5年前、東電福島第一原発の事故により、
  この山の麓を分け有つ葛尾村浪江町などの住民の方々に
  避難指示が出されました。
  以来、この山の三角点が葛尾村に所在することもあり、
  無理をせず、見廻りの対象から外しました。

  その後、葛尾村の、生活圏に限られたものとはいえ、除染が進み、
  明日(6/12)、避難指示が解除される運びとなりました。
  まだまだ様々に課題山積のことと拝察いたしますが、
  まずは前進と、お慶び申し上げます。

  この葛尾村の避難指示解除を機に、応えて、とにもかくにも、
  見廻りを再開することといたしました。
  
  じつに、5年4カ月振りです。


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  今日の「相棒」は↓線量計
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 福島県では、TVの『天気予報』の時間に、県内各地の環境放射線量を伝えるようになって久しいですが、「hPa」(ヘクトパスカル)の数値を圧しのけて、「μSv/h」(マイクロシーベルト)の数値が、画面を賑わす日が来るなどと、一体、誰が想像したでしょうか。――

 本日は環境放射線モニタリングを行ないましたので、略説します。
1→「平地区公民館」前で、測定値は、0.15μSv/h。
2→「移登山口」が、0.51μSv/h。
2~4→この間は、0.41μSv/h~1.14μSv/h。
5→「移分岐」は、0.41μSv/h。
5~6→この間、1.01μSv/h~0.91μSv/h。
6~7→この間は、0.39μSv/h~0.85μSv/h。
8→ここで今回の最大値、1.77μSv/h(この辺りでは、厳密に同じ場所ではないので一概にはいえませんが、2011年のデータで最大値5.262μSv/h、2013年のデータで3.701μSv/hが報告されていますので、年々下がって来ている様です)
9→「山頂部」は、0.34μSv/h~0.44μSv/h。三角点は0.54μSv/h。
10→ここまで下って、0.50μSv/h ~1.21μSv/h。
12→「御神水」は、0.59μSv/h。
13→「田沢登山口」は、0.33μSv/h。
14→「茂原登山口/鳥居」の所は、0.33μSv/h。
15→休憩所(東屋)で、0.27μSv/h。

 以前、『山と渓谷』という雑誌に、
『X≒0.43μSv/h』(Xとは登山対象エリアの許容放射線量)
とする記事が載っていました。(2012年1月号)
 福島第一原発事故によって0.03μSv/h放射線量が増加した地域に住む成人男性が、年間に25日の山行にいく場合を想定し、年間1mSvに収まる範囲を計算したものだそうです。これでもってすら安全と断言することは「できない」と結んでいました。
*計算式は、
(8+0.4×16){Z(X-0.04)+Y(365-Z)}=1000-a(μSv)
X=登山対象エリアの許容放射線量(μSv/h)
Y=居住地域の放射線量のうち福島第一原発事故によって増加した線量
Z=年間山行日数
a=食物由来の年間内部被曝線量(μSv/h)

 この記事を初めて読んだとき、当時、このXに倍する線量を日常的に浴びせられていた福島市郡山市、他たくさんの地域の方々のことを思って、憤慨したものですが、それはともかく、このXを確実に超える山域に入る場合には、積算被曝線量についての自己管理が求められているということなのでしょう。哀しいですが、これが現実です。
 みんなが安んじて登れる日は、いつになるでしょうか。

フクシマの人間は、
μSv/hの数値に麻痺してしまいました…。
  




  田村市船引町上移(かみうつし)の平地区公民館。
  此処に車を置かせて頂き、出発です。
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  この三叉路の正面、農道へと進みます。
  (以前あった案内標識がなくなっています)
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  移ヶ岳からのエ~ル。
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  登山口が見えて来ました。
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  途中で林道と出合い、電波施設。
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  気持の良い山路。
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  移分岐。茂原登山口からの径を合せます。
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  森の住人たちの大合唱の中を運歩
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  山頂まで、あと0.5km。
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  『胎内くぐり岩』。
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  日山山頂に到着。展望台は健在です。
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  展望台に上って、周覧。
  左に殿上山、中央奥に高柴山、手前に移ヶ岳。
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  手前から、竜子山、鎌倉岳、大滝根山
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  そして、五十人山。
  阿武隈が唱を合せて讃います。
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  ちょっと先の、葛尾側、展望岩へ。
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  これが日山の三角点。
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  展望岩です。
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  沐浴する、峰々。
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  展望台に戻り、ベンチでランチタイム。
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  すると大きな鳥が遊びに来てくれました。

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  人影も絶えがちなこの山で、
  すっかり主の貫禄です。

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  人間を、彼は、わらっている。おこっている。
  これだけ手痛い経験をしながら、なおも、
  原発などというヤクザ者と手を切れないのだから。――

  「さて、これはたしかに無理な注文である。
  ただし、それが無理なのは何も
  このような重大な要請や危機状況に応じる新しい生活様式
  構想できないからではなくて、
  現在の消費社会が麻薬中毒患者に似ていて、
  どんなにみじめな思いをしても、
  麻薬をたつのがたいへんむずかしいからなのである」
  とは、先達の諫言。
  麻薬をたたなければ、「廃人」になってしまうのに。

  私はこの鳥の悠悠閑閑を前にして、哀しい哉、
  「人間であること」を誇れなかった。

  誇るどころか、人間の
  天然を汚した罪は、重い…。


  
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  陽精の讃歌。
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  さて、一帯に異状のあるなく、安堵。
  今日は全体をモニタリングしたいので、
  一旦下って、周回します。

  田沢登山口へ。
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  田沢登山口に到着。
  日山キャンプ場へ移動します。
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  パークゴルフ場は営業している様です。
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  日山キャンプ場、茂原登山口の鳥居。
  ここから登り返します。
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  途中、休憩所から日山。
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  麓山。
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  東屋で一息。
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  モニタリングで時間が超過。急ぎ足で移分岐へ。
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  緑のエ~ルを押し戴いて、すたこら。
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  下り終えれば、移ヶ岳の、エ~ルとねぎらい。
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  そして、鎌倉岳からも。
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  無事の下山、
  お山の、そして地区のみなさんの
  邁往を願って、
  感謝、感謝。



  Fin